食物経口免疫療法
当クリニックでは食物アレルギーの患者さんに対して「食物経口免疫療法」を実施しております。
ご希望の方は経口免疫療法についてまとめましたので下記ご一読の上ご相談ください。
経口免疫療法が始められた理由は?
食物アレルギーのお子さんについては、これまで原因食物(アレルゲン)を一切摂取しない除去食を続け、自然に治ることを期待するだけが唯一の対処法でした。しかしながら、除去食対応は成長期のお子さんと家族にとっては精神的な負担と料理の負担などが大きくなっています。特に、極少量で症状がでる場合には、アレルゲン混入など少量のアレルゲン摂取事故への対応も必要となるので、負担はさらに大きくなっています。
また、食物アレルギーのお子さんの約8割が6歳までに自然に治ると言われていましたが、最近の研究からは比較的重症なお子さんでは治りにくいことがわかってきました。そのため、近年、原因食物を食べて治す治療、経口免疫療法が脚光を浴びるようになってきています。
経口免疫療法の方法は?
経口免疫療法では原因食物を症状が出ない少量を継続的に食べて、その量を少しずつ増加させて、最終的に一定量を食べられるようにする治療法です。大きく分けて急速法(入院、2~4ヶ月程度)と緩徐法(外来、数ヶ月~1年程度)の2通りがありますが、当クリニックでは緩徐法のみをおこないます。
目標量はどのくらいですか?
お子さんにより目標量は違いますが、一般的には卵1個、牛乳200ml、小麦(うどん)100gなどが一つの目安になります。
最初に開始する摂取量はどのように決めるのですか?
事前にクリニックで食物経口負荷試験を行い、原因食物の閾値(症状のでる最少量)を明らかにし、それを参考に、その1/10程度の量を初期量として決めます。その量を自宅で連日食べてもらいます。
摂取する増量法と間隔はどうするのですか?
自宅で食べて症状が出ない、あるいは軽微な症状であれば2週間から1ヶ月程度同じ量を継続摂取します。その後、食べる量を徐々に増量していきますが、増量する初回は必ずクリニックで食べて経過観察をして症状が出ないことを確認します。増量する場合には途中で症状が出てしまう場合があり、その際は量をいったん減量し改めて増量します。
治療による経過とその後の注意点はありますか?
治療により食べられる量が目標量に到達した後も一定期間(数ヶ月~数年程度、明確な基準はありません)は週2~3回は原因食物を食べ続けることが必要です。食べ続けることを中断してしまうと免疫療法の効果が消失してしまいます。さらに、日常生活で症状がでなくても、食後の運動や胃腸炎など体調不良時には症状が出てしまうことがあります。
食事制限の解除はどの時点から可能ですか?
経口免疫療法によって食べられる量が徐々に増えていけば、食事制限の緩和が可能になります。自宅の食生活で症状がでないことが確認されたら、学校給食や外食などでの制限を解除していきます。
経口免疫療法開始にあたって注意点はなんでしょうか?
- 経口免疫療法の有効性は100%ではありません。重い症状を繰り返す場合や他の症状が出ることなどもあり、その場合は途中で中止することがあります。
- 経過中に症状の出現は軽症なものが多いのですがほぼ必発です。その際に使用する薬剤の準備や使用法などの対応策を準備し、医療のバックアップ体制を確保した上で治療を実施します。途中で心配であればクリニックに連絡し、相談します。
- 自宅での摂取量については、指示なく自己判断で増量をしてはいけません。危険です。
- 体調不良時(発熱や下痢など)や激しい運動をする前には摂取を控えてください。食べられない日が数日続く場合は一段階前の少ない量で再開し、症状が出なければ2日間継続後、元の量に戻して継続します。
中止の判断はどうするのですか?
- 治療途中であっても医師の判断で治療を中止することがあります。
- 本人あるいは保護者の申し入れがあればいつでも中止は可能です。
関係者との情報の共有は必要ですか?
経口免疫療法実施中であることなどの情報はお子さんと関連する方がた(学校や保育園・幼稚園関係者など)と共有し、不慮の事故につながらないようにしていくことが必要です。
食物アレルギーに対する経口免疫療法の位置づけはどうなっていますか?
食物アレルギー診療ガイドライン2012では「現時点では専門医により研究的に行われている段階であり、一般診療の場において行うことは推奨しない。」と記載されています。当クリニックでは日本アレルギー学会専門医・指導医による治療を行います。
平成30年8月28日
相原アレルギー科・小児科クリニック
院長相原 雄幸
医師伊藤 玲子
相原アレルギー科・小児科クリニック概要
相原アレルギー科・小児科クリニック
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